ブータンの中で幸せなヒトは、97%ではなく8%くらい
ブータンと言えば、国民総幸福量という指標を提唱し、「幸せの国」の代表例といわれている国です。ブータンの国勢調査では「97%の国民が幸せ」と答えていたという事実は、日本での「震災もあったし、金銭的な豊かさだけじゃないよね」といった考えとマッチし、良いように使われている傾向にあります。
国民の97%が幸せと感じている国・ブータン!!GNHから考える企業経営のあり方とは? | 業界別 半年先の景気を読む | ダイヤモンド・オンライン
この論理の流れって、正直言って気持ち悪いですね。SMAPの世界で一つだけの花も嫌いですが、それと似た匂いを感じます。
従業員はいかに仕事を楽しむか、いかに楽しく仕事をするかが大切です。
一方で、企業のトップは、いかに楽しく従業員が働ける環境を作れるかに全力を注ぐことです。これが企業価値向上のポイントになります。
ナンバーワンになれなくてもいい、元々、特別なオンリーワン
成熟してしまって成長がない国・人々の「いいわけ」にしか聞こえないし、もっと言えば、諦めてしまっているふう(それを、世の中/会社 というよく分からない大きなものに転嫁してる感じ)の空気が面白くない。やっぱり、何処まで行っても、如何に儲けるか(ナンバーワンになるか)ということを考えるのが、(もちろんベストとは言えないけども)もっともフェア(=誰もが納得できる)な気がします。
# ちなみに、楽しむか、とかって、どうやって判断する気なんでしょうかね。それこそ、僕の楽しさとあなたの楽しさを客観的な数値として比べられないと思います。
話はもどるんですけど、そもそも、ブータンって幸せなのか?というところ。
実は、この97%という値、統計のマジックのようです。
http://courrier.jp/blog/?p=12123&utm_source=buffer&buffer_share=1549d
2005年の国勢調査の正式なタイトルは「Population and Housing Census of Bhutan – 2005」。約7500人の調査官が、2005年5月30日〜31日の2日間、ブータン全土の人間(外国人を含む)を対象に、「人口」「健康」「移住」「雇用」「家族」などさまざまな分野について調査を行いました。「幸福度」に関する調査は、「家族」に関する質問項目のなかの一つです。
この質問は、自分の幸福度を「とても幸せ」「幸せ」「あまり幸せでない」の3つから選ぶという単純なものでした。5段階でもなく、4段階でもないというところが一つのポイントです。「ふつう」を選びたい人は、「幸せ」を選ぶしかないようです。
この3つの選択肢じゃ、「幸せ」と答える人が大半ですよね、そりゃ笑
2005年より後に、ちゃんとした項目でアンケートしたところ、幸せと答えるヒトが、40%程度だったみたいで、それなら別に普通の国じゃない? と思いますね。
ちなみに、あるサービス業において、「今後の来店意向」をたずねたときに、「必ずいく」「結構行きたい」を含めた肯定派の比率と、実際の来店者の相関(年代別の相関)は悪く、一方で必ず行くの積極肯定派のみと実際の来店者との相関は非常に高かったとのこと。つまり、「必ず行く」と答えた人だけが着ていたということだ。つまり、来店者予測、売上予測を行きたい人ベースで取っていたらとんでもなく楽観的な予測と言うことになります。
ここらへんの話は、前にも紹介した以下の本が詳しいです。
- 作者: 村山徹,三谷宏治,アクセンチュア,CRMグループ,戦略グループ
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2001/07/01
- メディア: 単行本
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来店者の予測と同じように、まぁまぁ幸せと答えたヒトはアンケートで聞かれたから幸せと答えているだけで、実際の生活の中で幸せを感じているヒトと考えないという厳しい見方もできます。
そうやって、先のアンケートで「とても幸せ」と答えたヒトだけを幸せを感じているヒトと捕らえると、ブータンの中でわずか8%となるようです。97%が8%に。ずいぶんなミスリードですよね、これは。