右、斜め45度

右斜め45度は、「Done is better than perfect!」の日本語訳のつもり。進んでいれば良しとする精神を大事にしたい。

変わらないといけないけど、変わっちゃいけないこと

ku:nelのリニューアルは散々だったようだ。

『ku:nel』の苦戦と「SNSは緩慢な自殺なのか」問題【第85回】|すべてのニュースは賞味期限切れである|おぐらりゅうじ/速水健朗|cakes(ケイクス)

かつての雑誌は、アジア人でも「リセエンヌ」になれるとウソをついてくれるような存在だった。だけど、それを乗り越え、フランス人にならなくてもいいんだという答えを示したのが、かつての『ku:nel』だと。なのに、今度のリニューアルは、ここにきてもう一度、50歳で「フランス人」になろうと言い出してしまった。それはこれまでの人生の否定ということになる。

「ライフスタイル」なんてカタカナでは言い表せない、ガチの「暮らし」ですよ。もともと『ku:nel』って、エプロン姿も素敵よね、古い家具も味があっていいのよ、というような思想だったはずなんです。それこそ、手作りのフルーツゼリーこそが「宝石」で、決してクロムハーツではなかった。長く使う定番は、自分たちでせっせと裁縫した巾着袋で、フェンディのバッグじゃない。おばあちゃんの代からずっと実家にある和たんすを褒めてくれるのが『ku:nel』だったのに、パリの高級アンティークショップで売られている家具を紹介されても、いやそれ違うから、ってなるでしょう。


確かに、雑誌の売れ行きが芳しくない中で、購入商品を紙面に載せて広告費を稼がないといけないという裏事情があったのだろう。でも、なんで、ひらたくいうと、ここまで、「顧客ニーズを取り違えてしまった」んだろうか。

一方。Quickjapanのリニューアルは概ね評判がいいといわれている。これまで、モモクロなどのアイドル路線だったのに、奥田愛基が背表紙になるなど、パッと見は、むしろ、ku:nelより変わったように見える。

なぜ『Quick Japan』はSEALDs奥田愛基を表紙にしたのか? 新編集長・続木順平さんに聞く(1) - 新刊JP

リニューアルにあたり、『Quick Japan』の創刊号を読み返していたのですが、そこで初代編集長の赤田祐一さんが、「A VOICE OF NEW GENERATION」という言葉を使っていたんです。

「ジャーナリズム」ではなく「ニュー・ジャーナリズム」を本気で目指した雑誌を若い人に届けるんだ、そのためにはもっと現場に行って一緒に体験をしたり、同行したりして、彼らの声に耳を傾けて、自分の言葉でそのことを書かないといけないんだという内容なんですが、「これって今じゃん!」って(笑)。特に今は若い世代と上の世代との興味の対象がスパっと切れて、何をしているのかまったくわからない状態が増えている気がするので、そのあたりをちゃんと知りたい。でもそれがなくなってしまったのは、役割を担う人が減っているからなんじゃないかという想いもあって、この言葉を改めて提示しました。


これを読んで思ったのは、別に、政治色が強くなるとかアイドルを取り扱うとかそういうことじゃない。もっと根っこの部分のコンセプトをより純化させたのだ、その結果、取り扱う素材の幅は増えたけど、それでもQuickjapanらしさは保っている。だから、好評だったのでは?と思うのだ。

変わらないといけないけど、変わっちゃいけないリニューアル。
何を変えちゃいけなくて、何を変えないといけないのか。
僕は以下のように考える。

世の中に対しての向き合い方の角度(着眼点・視点のようなもの)は変わっちゃいけない。雑誌を当初作り上げた人々やその頃のファンがその雑誌に期待するものを理解&尊敬し、大切にしないといけない。ただ、その着眼点・視点で見る対象は、時代に合わせて変えたほうがいい。Quickjapanが奥田君を取り上げたように。

さて、僕もサービスリニューアルを頑張るとするか。
世間に問うてみるのが楽しみでしかたない。