ある街の電機屋さんのはなし
電機屋を営むおじさんに聞いた話です。
カラーテレビ、クーラー、自動車が三種の神器と呼ばれた時代は1960〜1970年代。その頃は、お客を店で「待っていれば」良かった。
でも、それは長くは続かなかった。
みんなが同じものを求めるのであれば、それを「たくさん扱えば」「その分」安くなる。そのロジックを突き詰めて、家電量販店が生まれた。
そうすると、町の電機屋さんは店で待っているのではなく、お客を捕まえにいく必要がある。
おじさんはどうしたか?
雨の日に、わざわざ訪問したらしい。何故って、晴れの日だったら出かけちゃうから。
で、押し売りをするわけでなく、これまで買ってもらった家電のチェックや電球などの消耗品のチェックをするわけだ。
”安売りはしない。如何に高く売りつけるか、それだけを考えていた”
そう言い切った、おじさんはとても格好良かった。
かっこいいビジネス用語で纏めるとさ、
- いわゆる「価格勝負」の土俵に乗らず、
- 顧客の状況をきめ細かに把握&ニーズに柔軟に対応する「小回りのよさ」で勝負していた
という言葉で纏められるんだけど、そんなの味気ないでしょ。彼の生生しい言葉こそ、エッセンスが詰まってる、そう思いませんか。