右、斜め45度

右斜め45度は、「Done is better than perfect!」の日本語訳のつもり。進んでいれば良しとする精神を大事にしたい。

ヒトは小難しく毎回考えてモノを買ってないんです『習慣で買うの作り方』ニール・マーティン

この本が繰り返し述べていることは、人間は「信頼した」ものについては、エネルギーの節約のためにも、いちいち考えていない。一度、その状態になってしまえば、ちょっと他社の商品が総合的には良いからといって乗り換えない ということです。

「習慣で買う」のつくり方

「習慣で買う」のつくり方

最初に、そのエッセンスが纏められてます。

  • 企業は、顧客の言動ではなく、行動に注視すること。習慣は行動の繰り返しから生まれ、時間をかけて確立されていく。だが、言動は一時的なものであり、そこから行動を予測することは難しい。
  • 習慣脳と判断脳では鍛え方が異なる。判断脳は論理や意見を通じて磨きがかかるが、習慣脳は、同じ結果が生じる行動を繰り返すことで育まれる。
  • 顧客が判断脳で考えていると他の商品に乗り換えられやすい。また、購入時に判断脳をはたらかされてしまうと、ライバル社の商品を思い浮かべさせる恐れがある。逆に、顧客の習慣脳に入り込むことができれば、意思と関係なく、自動的に繰り返し購入してもらえるようになる
  • 競合他社から顧客を奪うには、その顧客の習慣を壊さなければならない。既存の習慣が根強いほど、習慣脳から判断脳への移行は困難だが、まず自社商品のことを判断脳で考えてもらえるように仕向けられれば突破口が開ける。


では、「消費者の信頼」とはなんなのか? という問題に帰着されます。
ウラを返せば、自社ブランドが消費者に何を約束していたのかということになります。提供するものが明確でないブランドは、他のブランドと区別がつかないので、消費者が習慣脳で買うまでにはいたってないことになります。


ここでいくつかの事例を。


例えば、ファーストフード店が、消費者に約束していることは、「安い・早い・ジャンキーさ」といったところではないでしょうか。だから、事前調査で好評だった低カロリー商品を売っても、売れない。

事前調査に協力したヒトは、判断脳で考えて、低カロリーのメニューは体にいい。だから、メニューにあったほうが良いと答える。だが、ファーストフードの店内には習慣的な行動を呼び覚ますアイズが沢山ある。フライドポテトやハンバーガーのにおい。そのにおいを嗅ぐと、判断脳が働く前にいつものセットを注文してしまうのだ。

薬が、消費者に約束していることは、「確かに治してくれる感」といったところでしょうか。過去に自分もその薬にお世話になったことがあると、そのメカニズムは良く分からないけど、信頼しちゃうわけですよね。

自分用ならジェネリック医薬品を買っても大切なヒトのためには名の知れたブランドの薬を買います。頭では、どちらでも中身は同じと分かっていても、高いほうを買うことで、お金よりも子供や家族のことを大事にしていると実感したいのです。


判断脳に強い技術屋さんがサービスを考えると、「網羅的」を意識しすぎて、使いづらいサービスになり果ててしまう一例です。

カメラ付き携帯で写真を撮った後に、何をするかは決まっている。保存するか、メールで送るかだ。そのために、いちいちメニューを開いて目当ての動作を選択したくはない。論理を優先させると、あらゆる動作をメニューで一覧表示させることになる。だから操作がややこしくなる。
設計は、分類重視か目的重視かに大別される。
金物屋は釘は釘のコーナーにまとめて陳列するが、大工が仕事で使うときは、金槌の横だ。

僕も、自分のサイトで思ったより既存顧客の離脱が大きくて、ショックを受けてます。たぶん、消費者に約束していることを十分に理解しきれてなかったんだな と思ってます。