右、斜め45度

右斜め45度は、「Done is better than perfect!」の日本語訳のつもり。進んでいれば良しとする精神を大事にしたい。

忙しい有能な人間ほど露骨なおべっかが好き『戦略おべっか』ホイチョイ・プロダクションズ

ホイチョイ・プロダクションズの本は、前書きがすばらしい。

日本人は、「言わなくても分かる」ということを重視したりするが、ビジネスにおいては、見え透くくらいのアピールが重要だ。

「あの人は優秀だから、きっと他の人が気づかない自分のよさに気づいているだろう」などと期待するのは、仕事のできない部下の甘い幻想である。優秀な上司は、目の前に山積みした大仕事に意識を集中させている。小事をみる余裕などなぢ。そんな人間には、彼自身の助けとなる、即効性のあるサービスしか伝わらない。優秀な上司は、そうしたリアルなサービスを瞬時に行ってくれる人間しか評価しないし、優秀な部下はそのことを知っている。


ディズニーランドの日本誘致をかけて、三菱地所三井不動産が、ディズニープロダクションの幹部に対して行った史上最大の競合プレゼンテーションで、三井側を勝利に導いた堀貞一郎の気配りは語り草になっているという。

堀は、プレゼンの成功の鍵は移動にあるとにらんでいた。ライバルの三菱地所が提案している富士の裾野の土地は、少なく見積もっても、東京から100キロ離れている。帝国ホテルから富士の麓までバスで連れて行かれたディズニー幹部はうんざりさせられたはずだ。三井が提案する浦安までの体感移動時間を短く感じさせられたら、ことは有利に運ぶに違いない。

そのため、堀は、ディズニー幹部の昼食をバスの中で行うことにした。都心の道路があく正午〜13時の昼食時を移動に充てない手はないし、車中で食事をしていれば時間も短く感じられるだろう。「お飲み物はなんにいたしましょう。遠慮なくご注文ください。何でもございますから」「なんでも?」ディズニー経営陣が次々に注文する飲み物が、全て小さな冷蔵庫から取り出されていった。「あれは、アイスボックスではなくマジックボックスだ」と驚いた。もちろん、このマジックには種があって、三井はロサンゼルスのジャック・ホワイトハウスというPRマンに、ディズニーの幹部が昼食やパーティの席で、日ごろ、どんな食前酒を飲んでいるかについて、事前に詳細なレポートを遅らせていた。堀はそのレポートを分析し、各人の注文が最大で3パターンしかなく、その多くはダブっていることをつかんでおり、そのおかげで小さな冷蔵庫に全てを詰め込むことができたのだ。こうした堀の細かな気配りに、ディズニー幹部が感心し、この会社ならディズニーランドを任せても安心だろうと判断したおかげで、三井が提案する浦安にディズニーランドが誕生したのである。

なるほど・・・・と頷くようなエピソードをいくつか。

相手に自分を印象付けて歓心を買おうと思ったら、わざとアポイントに遅れていいのである。「2分遅れます」と電話を入れ、その通りにわざと2分遅れて、相手に覚えてもらうのだ。秀吉が、三成が生きていれば、きっとそうする。それが「戦略」というものだ

そもそも、仕事の出来・不出来は主観にすぎない。ある人は、キミの仕事ぶりを100点と評価しても、別な人は30点と評価するかもしれない。だが速さは客観だ。一番最初に出された答えは、それが合ってようが、まちがっていようが、誰の目にも一番最初に出された答えである。また、後から手を廻して修正することも可能である。

得意先への大量の届け物があるとき、タクシーで行くのは仕方ないにしても、それを得意先に見られるのは贅沢と思われ、得策ではない。必ず、100メートル手前で降りて、重いものを一生懸命歩いて運んでいる様子を得意先の社員に見せ付けておくべき。


人を動かすのは、正面の理、側面の情、背面の恐怖の三つである。
そして、若手のうちは理だけでうまく行ってたところだが、中堅になるにつれて、情と、はたまた、時には相手に対しての恐怖 を使いつつ、人を動かしていかないといけない。色々、勉強することが多いなと思った一冊だ。