右、斜め45度

右斜め45度は、「Done is better than perfect!」の日本語訳のつもり。進んでいれば良しとする精神を大事にしたい。

ゲームボーイは敢えてカラーじゃなかったという話が面白い『「枯れた技術の水平思考」とは何か?』横井軍平

今年一番の本かもしれません。

決定版・ゲームの神様 横井軍平のことば (P-Vine Books)

決定版・ゲームの神様 横井軍平のことば (P-Vine Books)


枯れた技術の水平思考とは、2つの言葉に分かれる。
まず、枯れた技術。

これは既に広く使用されて、メリット・デメリットが明らかになっている技術のことで、コストが高くない技術であるということ。

もともと先端技術は、娯楽品を作るためにでてきたものではありません。軍事であったり、衣料であったり、そういうもののために出てきた技術です。それがだんだんいろんな用途に使われていくうちに値段が安くなっていく。

水平思考とは、現在利用されているジャンルから離れ、まったく別のものに置き換えて使うことにより、新しいものを生み出すという考えである。

私の開発哲学は、とにかく世界にないものをつくるということでした。世界にない商品を作れば、それによって新しい独占市場を手にすることが出来ます。


こう考えてみると、横井軍平とは、開発者でありながら、売れる商品という視点を常に持っていたということがよく分かる。


特に、ゲームボーイのカラー化については断固阻止したエピソードが面白い。
僕もやっぱりどこかで、白黒よりカラーのほうが「進化した」と思っちゃってました。
これって、グラフィック偏重主義ないまのゲームにも言えることですよね。
いまの美しいゲームってどっちかというと、映画やテレビに近いんですよね。ストーリーも一本道だしね。

カラーって言うのは面白いもんでね、概念的に見えるものなんですよ。黒板にチョークで雪だるまの絵を描いたら誰が見たって白く見えるんです。(略)

テレビっていうのは情報機器なんですよ。情報機器というのは、例えば、ニュースで「青森でこんなに真っ赤なりんごがとれました」ということを知らせるには色があったほうが良いと思うんです。しかし、ゲームの世界では、りんごが赤だろうが青だろうが関係ないんですよ。それはりんごの絵を描けば殆どの人が赤に感じてくれるわけですから。

単にぱっと見たときに派手さがあるというメリットがあっても、本当に必要なものではないと、私はゲームの中の色やキャラクターに思うんですよね。だから、それを同じ値段でカラーが付いたり細かく出来たりすればそれに越したことはないのですが、そのために高くなるというのはデメリットのほうが大きい。ゲームボーイをつくったとき、当然私たち技術者の中でもカラーを出したとき、値段がどうなってどれくらいのデメリットがあるかを考えたら、絶対に必要ないものであると思いました。

ミッキーマウスでも、マリオでも主人公を●にして、敵を■にして世の中のゲームに置き換えたら、みんな同じものになってしまうわけですよ。じゃあ、なんのために映像を変えているかというと、私はCGというのは、「HOW TO PLAY」を教えるものだと思っている。例えば、ミッキーマウスを操作してずっと来て、ぶつかったものが美しいものだと味方だと思ってしまう。時際は敵なのに。だから恐ろしい映像にすることで、説明書ナシにこれを避けて行こうと思うわけじゃないですか。


以下のスティーブジョブズの話も好きですが、なんというか、のらなくても良い競争にのらないといけないと思こんでしまう感覚が恐ろしいです。イノベーションのジレンマと言ったら美しいですが、どちらかというと、アイデアを考えることからも逃げている気がしてます。
僕らを含め、通販サイトのポイント合戦とかも同じなんですけどね。

美しい女性を口説こうと思ったとき、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、キミは15本贈るかい?そう思った時点で、キミの負けだ。その女性が本当に何を望んでいるのか、見極めることが重要なんだ