クラウド化によって端末価格は急落するかもしれない
東洋経済がアップルに対してネガティブな記事を書いてます。
http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/4129e034b2108feada25db2fe0ede6c8/
その中で気になったのが、クラウドによって端末価格が急落するかもしれないという話。
少し抜粋します。
クラウドの推進派アップルにとって両刃の剣だ。アマゾン、グーグルなどクラウド先進企業が進めているのは、「クラウド側に高度な機能を集中させ、端末側はそれを表示できればいい」という世界の実現。端末の種類に限定しないオープンな環境を目指しており、それはドロップボックス、シュガーシンクなどの独立系クラウドサービス企業も同じだ。端末をコモディティ化し、劇的な価格引下げを目指していく動きだ。
アップルも、ようやくクラウドに目を向け始めたものの、あくまでアイフォーン、アイパッドなどの端末そのもので稼ぐビジネスモデルは不変。広告表示で稼ぐグーグルの場合には、端末を逆ザヤで販売して普及を最優先することもできるが、アップルにはそれはできない。
クラウド主体の時代になれば、付加価値はサーバー側に移り、機能を限定した価格の安い端末が主役になる。この流れは急激な勢いで進む可能性が高い。
乗り遅れてしまえば、アップルはパソコン全盛期のマックのようにニッチ企業になってしまうかもしれない。
顕著なのは、「アプリの未来の形」だと思います。おそらく、いままでのダウンロード型ではなく、その場その場の用途に合わせてストリーミングのようになるはずです。
だって、いまだって、みなさん、一回しか使ってないアプリゴロゴロしてるでしょ?一方で、APPストアでプラプラ探すのは、ブログか何かで面白いアプリを見つけたときであって、本当に、必要なときに、アプリを探したという経験は少ないわけです。つまり、「衝動買い」に近くて、「目的買い」はされてないわけですよ。
そのような現状を考えると、端末は、通信・CPU・あとはデザインに付加価値が集中していき、ソフトフェアやアプリの価値はサーバー側に移ると思われます。サーバー側の、データベース・ビックデータの重要性を身に沁みたからこそ、アップルだって、自前のマップ作成に挑んだわけですからね。(今後、位置情報を使ったサービスが流行ると見越して。)
「iOS 6」マップ騒動と「ビッグデータ戦争」|WIRED.jp
でも、どうなんですかね。
アップルの本質的な価値は、広義の意味でのデザイン力だと思うわけです。それは、ユーザの体験する価値を新しくデザインしていくという意味です。
先ほどの、アプリの例でいっても、じゃあ、どんなユーザインターフェスで、どんなユーザコミュニケーションが最も気持ちいいのか? ということは、まだまだ創造の余地があるはずです。そして、それを生み出すのに最も近い位置にいるのがアップルだと思います。
僕は、クラウド化によって端末価格は急落するかもしれないですが、アップルは次なるイノベーションによって唯一価格が急落しない端末を作り得るのではないか と思ってます。というか、願ってます。
だって、なんでもかんでも、データベースが勝つのって面白くないじゃないですか。やっぱり、クリエイターが良い待遇にならないと。
追記)ディスプレイの大きさではkindle fireやNexus 7と競合になるipad miniが発売されましたが、惜しみなく他のiOS製品と同レベルの技術を投入しているし、安売りしない価格戦略をとっているようです。ここでも「端末で稼ぐ」という基本ポリシーは変わらないということですね。